全体像：守りの設計図

1. 与信設計：ポリシー・スコア・限度額・担保・決済条件を体系化。
2. 平時運用：入金遅延・売掛回転・ニュースをモニタするEWSを日次/週次で回す。
3. 初動対応：期日超過の48時間以内に事実確認→支払合意書→出荷制限。
4. エスカレーション：分納/相殺/保全→弁護士通知→法的手続の判断。

与信ポリシーとスコアリング

属人的判断を避けるため、与信スコア＝外部情報＋内部KPIで定量化します。

取引開始時（オンボーディング）の実務

1. 申請書・誓約：会社情報、実印・印鑑証明、主要取引、支払口座。
2. 書面条項：遅延損害金、期限の利益喪失、所有権留保、相殺条項、保証/担保、準拠法。
3. 決済条件：前受/一部前受、L/C、代引/escrow、保険付きファクタリング。
4. 限度額設定：初回は小さく（60〜90日売上相当以下）、3回連続の期限通り入金で見直し。

平時のモニタリングと限度額見直し

• ダッシュボード：DSO（回収日数）、期限超過残高、遅延比率、与信枠使用率。
• EWSシグナル：入金額の端数化、決裁者変更、返品増、与信枠の常時上限。
• 更新ルール：四半期ごとに決算/ニュースを反映し、限度・担保・決済条件を見直す。

契約条項・担保・決済条件の使い分け

督促フロー（初動〜エスカレーション）

1. 期日当日：入金確認→未入金なら当日中に事実確認。
2. +2営業日：メール/書面督促（取引停止予告）。次回出荷は支払確認後に限定。
3. +7営業日：内容証明準備、分割合意書（期限利益喪失条項付）を提示。
4. +14営業日：弁護士名で催告。保全（仮差押・債権譲渡通知）を検討。

法的回収・保全のオプション

• 保全系：仮差押、債権差押、動産・債権譲渡登記、売掛債権の第三債務者通知。
• 訴訟系：支払督促・少額訴訟・通常訴訟、和解（公正証書化で強制執行可に）。
• 倒産手続：破産/民事再生/私的整理。相殺可否、留保・所有権、別除権の確認。
• 国際取引：仲裁条項、準拠法・裁判管轄、L/Cや貿易保険の発動条件。

よくある失敗と回避策

• 売上優先で審査省略：初回大口を前受なしで出荷 → 小口分割＋前受で段階化。
• 協議の長期化：善意解釈で先延ばし → 期限と出荷停止ラインを宣言。
• 営業と管理の分断：例外運用が常態化 → 例外承認ログと月次レビュー。
• 証憑不足：納品・検収・受領の証拠欠落 → 電子保管とワークフローで即時保全。

チェックリスト

• 与信ポリシー・スコア・限度額・担保の基準と例外を明文化した
• 取引開始時に契約条項（遅延損害金・期限利益喪失・所有権留保等）を組み込んだ
• DSO・期限超過・枠使用率のダッシュボードを運用している
• 督促のタイムライン（当日/2日/7日/14日）とテンプレ文面を用意した
• 証拠（契約〜入金）と交渉ログを一元管理している
• 国際取引はL/C/貿易保険・仲裁条項で事前に保全した

ご相談・支援メニュー

• 与信ポリシー/スコアリングと限度・担保の設計
• 契約条項テンプレ（所有権留保・期限利益喪失・相殺・担保）整備
• DSO・遅延モニタのダッシュボード構築とEWS運用
• 督促テンプレ/分納合意書/内容証明ドラフトの作成支援

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