海外展開×資金支援の全体像

支援策は大きく①補助金（非返済）、②融資・信用保証、③貿易保険（信用保険）、④為替ヘッジの4系統。目的別に使い分けます。

• 市場開拓：見本市出展、現地調査、販促資料、多言語サイト/EC。
• 商流構築：代理店契約、規制対応、認証取得（例：食品ラベル、電安規格等）。
• 供給体制：設備投資、品質管理、輸送・在庫最適化、コールドチェーン等。
• 決済・回収：ファクタリング、貿易保険、信用状（L/C）、与信審査。

補助金：類型と対象費用

制度により要件は異なりますが、代表的な対象費用は次の通りです。

金融支援：融資・信用保証・信用保険

• 政策系・民間融資：設備・運転資金の長期化、据置設定、輸出前後の資金繰りを平準化。
• 信用保証（中小向け）：海外展開を目的とする投資・運転資金の保証枠を活用。
• 貿易保険（信用保険）：相手先の倒産・政治リスク・送金制限等による代金未回収をカバー。
• ファクタリング/保険付きファクタリング：輸出債権の早期資金化＋与信移転。

輸出スキーム（オープンアカウント／L/C／前受け）ごとに、資金化のタイミング・リスク分担が変わります。

為替・価格条件・与信の実務

• 通貨設計：見積通貨（USD/EUR/現地通貨）と社内コスト通貨のズレを為替前提で明文化。
• ヘッジ：フォワード・予約・オプション等で粗利を防衛。ヘッジ比率は受注確度と回収サイトで決定。
• 価格条件（Incoterms®）：FOB/CIF/DAP等で費用負担・リスク移転点を明確化。
• 与信管理：バイヤーの信用調査、取引限度額、前受金・信用状・保険の併用。

申請〜実行〜モニタリングのフロー

1. 案件設計：国/チャネル/商品別のKPI（受注数・粗利・回収日数）を設定。
2. 費用区分：補助対象（展示会・翻訳・広告・試験等）と非対象を切り分け。
3. 見積・根拠：同等仕様の相見積、広告の媒体計画、輸送ルートの工程表。
4. 資金計画：補助金の入金時期と融資/自己資金のブリッジを資金繰りに反映。
5. 実行・証憑：契約・発注は採択後、納品/検収/稼働写真・請求・支払記録を保全。
6. 検証：月次でKPI・粗利・為替差損益・広告ROASをレビュー、翌期計画に還元。

よくあるNGと回避策

• 制度選定ミス：通常更新に見える支出を混在 → 海外展開に直結する費目の比率を高める。
• 前倒し着手：採択前の契約・発注 → 不支給リスク。スケジュールに審査期間を確保。
• 価格・条件の曖昧さ：Incoterms不明、検収条件未定義 → 回収遅延・返品増。
• 在庫・物流の設計不足：温度管理/通関要件を見落とし → 破損・滞留・コスト膨張。
• KPI未設定：受注・粗利・回収日数のモニタ不在 → 改善が回らない。

チェックリスト

• 国・チャネル・商品別にKPI（受注・粗利・回収日数）を設定した
• 補助対象と非対象の費目を切り分け、相見積・根拠を揃えた
• 契約・発注は採択後、証憑の保全ルールを定義した
• 為替前提・Incoterms・検収条件・支払条件を契約に明記した
• 貿易保険・ヘッジ・ファクタリングの併用で回収/為替リスクを低減した

ご相談・支援メニュー

• 制度選定と費用区分の設計（補助×融資×保険×ヘッジ）
• 申請書・見積・証憑フォルダの整備と運用設計
• 契約条件（Incoterms・検収・支払）テンプレと与信ルール
• KPIダッシュボード（受注・粗利・回収・為替差損益）の構築

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