融資交渉で活用できる『企業概要書』の作り方

融資交渉で活用できる「企業概要書」の作り方

「決算書だけでは伝わらない自社の強みを、どう表現するか?」——本稿では、金融機関に信頼される企業概要書の構成・必須項目・まとめ方を、実務目線で整理しました。

企業概要書の役割と位置づけ

融資交渉での「企業概要書」は、決算書だけでは見えない定性的な強みや事業ストーリーを伝える補完資料です。銀行担当者はこれをもとに本部に説明するため、「第三者に伝わるか」を基準に作成します。

必須項目と構成(ひな型)

  1. 会社概要:会社名・所在地・代表者・設立年・資本金・従業員数・拠点等。
  2. 事業内容:主要製品/サービス、顧客層、市場規模、販売チャネル。
  3. 沿革:設立〜現在までの主要トピック(受賞・大型案件・設備投資)。
  4. 財務状況:直近3期の売上・利益・自己資本比率・借入残高。
  5. 強み・差別化:技術力・シェア・顧客基盤・地域性。
  6. 将来計画:今後3〜5年の戦略、投資計画、売上/利益見通し。
  7. 主要取引先・金融機関:上位顧客・仕入先・取引銀行。

財務データの見せ方

  • 決算数値は3期分を掲載。売上高・営業利益・経常利益・純資産。
  • 自己資本比率・借入金残高・有利子負債比率も示すと財務健全性が伝わる。
  • 資金繰り表:融資申込金額の使途と返済原資を月次で明示。
  • グラフ化:売上推移、粗利率の改善、借入依存度の低下などを視覚化。

強み・実績・将来計画のまとめ方

銀行が重視するのは「競合比較での優位性」と「返済可能性の裏付け」です。

  • 強み:特許・技術・認定資格、顧客ロイヤルティ、地域密着の信頼。
  • 実績:受賞歴、大口取引、長期契約、取引拡大の履歴。
  • 将来計画:売上/利益の数値目標、設備投資、販路拡大、人材育成計画。

これらを「市場環境→自社の強み→戦略→数値目標」の順で書くとストーリー性が増します。

よくある落とし穴

  • 数字の裏付け不足:「売上1億を目指す」だけでは弱い。根拠となる契約・需要予測を明記。
  • 主観的表現の多用:「頑張る」「強い」など抽象表現ではなく、客観的実績を。
  • 情報過多:10ページ以上に膨らませると担当者が読み切れない。
  • 古いデータ:直近決算・月次試算表の更新を欠かすと信頼性が落ちる。

チェックリスト

  • 会社概要・事業内容・沿革を2ページ以内に整理
  • 直近3期の財務データを掲載(売上・利益・資産負債)
  • 強み・実績を数値や事例で裏付けている
  • 将来計画は数値目標+施策セットで提示
  • 最新の試算表・資金繰り表を添付できる状態にある

FAQ

Q. 企業概要書は必ず必要ですか?

必須ではありませんが、決算書だけでは伝わらない定性面を補強できるため、提出すると融資判断がスムーズになるケースが多いです。

Q. フォーマットは自由ですか?

自由ですが、A4横2〜4ページ程度に収め、会社概要→事業内容→財務→強み→計画の流れに沿うと読みやすいです。

Q. 財務データは詳細まで載せるべきですか?

摘要や細目までは不要ですが、売上高・利益・自己資本比率・借入残高といった主要指標は必須です。グラフ化も有効です。

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本記事は一般的な情報提供です。金融機関や地域によって求められる様式は異なるため、必ず取引銀行の最新要件をご確認ください。

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Shige