請求・入金消込の自動化と回収例外の実務テンプレ(EB明細・手数料差額・部分入金・割戻し・相殺)

請求・入金消込の自動化と回収例外の実務テンプレ(EB明細・手数料差額・部分入金・割戻し・相殺)

銀行EB明細・ゲートウェイ・会計を連携し、入金消込と回収例外をテンプレ×自動化。差額・部分入金・相殺・多通貨まで、SLA/監査ログ/ダッシュボードで回す設計です。

全体像:自動消込の骨子

  1. 目的:入金照合と回収例外の処理時間短縮・回収率向上・誤差ゼロ化
  2. 範囲:請求→入金→照合→差額処理→会計反映→未収管理。
  3. 成果物:名寄せルール、例外テンプレ、承認SLA、監査ログ、KPI。
  4. 原則:90%自動・10%例外(例外ファーストの運用)。

連携アーキテクチャ(EB/PG/会計)

データ源

  • 銀行EB明細:振込名義・金額・入金日・手数料表示
  • 決済PG:カード/口座/QRのトランザクションID
  • 会計・売掛台帳:請求No/顧客ID/通貨/税区分

統合

  • 顧客/請求/入金 共通IDで名寄せ(揺れ辞書)
  • ETLで整形→マスタ整備→照合キュー生成
  • API/ファイル連携の二系統を用意(BCP)

マッチング・ルール設計

レベル一致条件備考
L1請求No完全一致+金額一致+通貨一致即自動確定
L2顧客ID一致+金額差≦手数料閾値手数料差額として自動仕訳
L3名義類似(揺れ辞書)+期間内合算一致複数請求のまとめ入金対応
L4AIスコア(名義埋め・金額近似・周期)閾値超えのみ自動、他は要承認

例外パターンと処理テンプレ

主な例外

  • 部分入金(分納)/過入金(次回充当)
  • 手数料差額/為替差損益/端数差
  • 割戻し・返品・値引の相殺/相互債権相殺
  • 名義不一致/請求番号欠落/多通貨ズレ

テンプレ処理

  • 部分入金:残債自動起票+回収SLA開始
  • 過入金:過収金計上→次回相殺/返金フロー
  • 相殺:証憑添付必須→承認マトリクス
  • 多通貨:決済日レートで再評価・差額自動仕訳

ワークフロー・SLA・監査ログ

  • 自動照合→例外検出→チケット化→担当割当→期限SLA→完了
  • SLA:High(高額/重要顧客)48h、Med 3営業日、Low 週次
  • 監査:判断根拠・証憑・承認者・仕訳IDを自動ログ

KPI・ダッシュボード

KPI例

  • 自動消込率(L1〜L3)・AI確定率(L4)
  • 未消込残高・回収リードタイム(平均/分位)
  • 差額原因構成(手数料/相殺/多通貨/名義不一致)

可視化

  • 例外キューのSLA遵守率/担当負荷
  • 顧客別の未収・分納・滞留ヒートマップ

よくある失敗と回避策

  • 名寄せ精度不足:揺れ辞書未整備 → 正規化+辞書学習を定例化。
  • 例外の“属人化”:判断メモだけ → テンプレ処理と承認マトリクス化。
  • 仕訳の二重計上:往復参照なし → 仕訳ID相互リンクを必須化。
  • 多通貨差額の放置:評価日不統一 → 決済日固定・自動差額仕訳。

チェックリスト

  • EB/PG/会計の共通IDと名寄せ辞書を整備した
  • L1〜L4の照合ルールと自動/要承認の境界が明確
  • 例外テンプレと承認SLAが運用され監査ログに残る
  • 未消込・差額・滞留のKPIがダッシュボード化されている
  • 仕訳IDの往復参照で二重計上を防止している

FAQ

Q. 名義が毎回微妙に違い、照合が安定しません。

半角/全角・スペース・カナ/ローマ字の正規化と、自社の揺れ辞書(別名・支店名)を用意してください。学習でヒット率は安定します。

Q. 相殺や割戻しは自動化できますか?

可能です。ただし証憑添付と承認マトリクスを必須化し、仕訳IDの往復参照で監査性を担保してください。

Q. 多通貨・為替差額の処理は?

決済日レートで再評価し、差額を自動仕訳。評価日の統一とレート源の固定(社内ポリシー)を行ってください。

ご相談・支援メニュー

  • 入金消込ルール(L1〜L4)と揺れ辞書の設計
  • 例外テンプレ(部分入金/相殺/多通貨)と承認SLAの実装
  • EB/PG/会計のデータ連携・仕訳往復参照の整備
  • KPIダッシュボード・監査ログの構築と定着化支援

相談してみる(無料) 関連:サービス事例

本記事は一般的な情報提供です。入金消込・相殺・多通貨の処理は業種・契約・システム構成により最適解が異なります。導入前に一次情報と専門家の助言をご確認ください。

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Shige