金融機関との関係を強化するための『モニタリング報告』の作り方

金融機関との関係を強化する「モニタリング報告」の作り方

モニタリング報告は「資金状況と事業の再現性」を示す経営の定例便り。定期性・再現性・一貫性を満たすパッケージを整えることで、枠拡大・条件改善・スピード承認につながります。

なぜモニタリング報告が効くのか

  • 可視化:資金・利益・KPIの連動が見えると、返済可能性の説明力が上がる。
  • 信頼:定期・同じ形式で届く資料は、運用力(ガバナンス)の証明になる。
  • スピード:相談時に必要書類が既に整っており、審査が速い。

頻度と体裁(推奨カデンス)

頻度内容提出タイミングの目安
月次試算表・資金繰り・KPI・トピック締め後10営業日以内
四半期計画対比・感応度・見通し更新四半期締め後10〜15営業日
スポット大型案件・投資・突発事象の共有発生後すぐ(1枚サマリー)

月次パッケージの構成

  1. 1枚サマリー(今月のハイライト/リスク/来月の打ち手)
  2. 試算表(PL/BS)と前年同月・累計比較
  3. 資金繰り(12か月の月次+8〜12週の週次、谷間と手当を明示)
  4. KPIダッシュボード(後述)
  5. 注記(特記事項、会計方針変更、非定常の説明)

見せるべきKPI(事業・財務)

事業KPI

  • 受注・売上(製品/チャネル別)、解約/返品率
  • 粗利率、在庫回転日数、稼働率/歩留り
  • 客単価・来客数/案件数、受注残

財務KPI

  • 現預金月数、運転資本(売掛・買掛・棚卸)
  • DSCR、EBITDA倍率、自己資本比率
  • 資金ショート予兆(週次CF・最大谷間・手当案)

銀行が理解しやすい見せ方(ストーリー)

  • ① 事実:今月の数値(PL/CF/KPI)と要因分解(数量×単価/効率)。
  • ② 影響:資金への波及(週次CFの谷間、借入枠の使用状況)。
  • ③ 打ち手:価格・原価・在庫・与信・稼働の施策と実行状況
  • ④ 見通し:四半期の着地レンジと感応度(90%/80%シナリオ)。

借入条件・新規申込へのつなぎ込み

  1. 枠の根拠:週次CFの最大谷間+安全余裕=必要枠を算出。
  2. 投資の根拠:投資→粗利改善→営業CF→返済原資のブリッジ図。
  3. 条件:据置の必要性、返済方式、担保/保証、情報開示の頻度を提案。

よくあるNGと回避策

  • 毎回フォーマットが違う:集計に時間がかかり、比較できない → テンプレ固定
  • 都合の悪い情報を伏せる:後で露見し信頼低下 → 早期に打ち手と期限をセットで共有。
  • PLだけでCFが無い:資金ショックの予兆が見えない → 週次CFと最大谷間+手当案を必ず添付。
  • 説明が抽象的:数量/単価/効率・在庫/与信の要因分解で具体化。

チェックリスト

  • 月次締め後10営業日以内に同一テンプレで送付している
  • PL/BS/週次CF/ダッシュボード/1枚サマリーが揃っている
  • 受注・粗利・在庫・与信のKPIが前年同月比+移動平均で提示されている
  • 最大谷間と借入枠の根拠(必要枠=谷間+安全余裕)を明記している
  • 四半期ごとに感応度(90%/80%)と見通し更新を行っている

FAQ

Q. どこから始めればよい?最低限のセットは?

1枚サマリー/PL・BS/週次CF/KPI(受注・粗利・在庫・与信)の4点セットを、締め後10営業日以内で始めるのが最短ルートです。

Q. Excelで十分?ダッシュボードは必要?

小規模ならExcelで十分です。件数が増えたら会計/販売/在庫のCSV連携で半自動化し、可視化はBI(スプレッドシート+グラフ)で構いません。

Q. 赤字期でも提出した方が良い?

むしろ効果的です。要因分解と打ち手・期限が示されると、条件変更や追加支援の交渉材料になります。

ご相談・支援メニュー

  • 月次モニタリング報告テンプレ(1枚サマリー+ダッシュボード)提供
  • 会計/販売/在庫のCSV連携と半自動更新フローの設計
  • 借入枠算定(最大谷間+安全余裕)と条件交渉パッケージ作成
  • 四半期レビュー(感応度・見通し更新・施策の伴走)

相談してみる(無料) 関連:サービス事例

本記事は一般的な情報提供です。金融機関や業種によって評価ポイントは異なるため、自社の実情に合わせてカスタマイズしてください。

投稿者プロフィール

Shige