2025年版|中小企業向けエネルギーコスト削減策
最新情報|第3弾 - 15本目
2025年版|中小企業向けエネルギーコスト削減策【即効ワザ×設備投資×契約見直し】
エネルギー費は「使用量」×「単価」×「時間帯」の積で決まります。
本稿では、2025年の環境を踏まえた短期(運用)/中期(小額投資)/中長期(設備・再エネ)の打ち手を
一覧化。契約メニューの見直し、デマンド管理、分散電源の活用まで、実務フローとチェックリストで解説します。
結論(TL;DR)
- 結論①:まずは契約と時間帯の最適化(単価×ピーク)で即効性を出す。
- 結論②:小額投資はVFD(インバータ)・空調設定・圧縮空気漏れが高ROI。
- 結論③:中長期は高効率機・BEMS/EMS・屋根上PVで構造的に下げる。補助金は“後押し”であって主目的にしない。
短期:即効ワザ(0〜30日)
- 契約プラン・基本料金の棚卸:過去12か月の30分データ(あれば)でピーク時刻を特定。基本料金/力率割引の見直し。
- 空調の適正化:設定温度±1〜2℃、フィルタ清掃、外気取入れ量の最適化。
- 圧縮空気:リーク点検(休止時の圧力降下チェック)、アイドル運転の停止。
- 照明:不要エリアの点灯カット、スケジュール化、昼休み自動消灯。
- 需要の前倒し/後倒し:ピーク帯の加工作業を時間帯シフト。
中期:小額投資で効く改善(1〜6か月)
項目 | 内容 | 概算コスト | 効果イメージ | ポイント |
---|---|---|---|---|
VFD(インバータ) | 送風機・ポンプの回転数制御 | 中(数十万円〜) | 動力電力▲15〜30% | ベース負荷の時間帯に効く |
LED+人感/明るさ制御 | 照明の自動制御と面積最適化 | 中(器具更新) | 照明電力▲40〜60% | 高天井は特に効果大 |
空調チューニング | ゾーニング・ダンパ調整・BAS連携 | 小〜中 | HVAC電力▲10〜20% | 快適性を損なわずに削減 |
圧縮空気最適化 | リーク修繕・配管径見直し | 小 | コンプレッサ電力▲10〜25% | 測定→修繕→再測定が鍵 |
冷凍/冷蔵の断熱強化 | 気密改善・自動扉・カーテン | 小〜中 | 冷却負荷▲10〜15% | 結露対策も同時に |
中長期:設備投資・再エネ(6か月〜)
高効率機への更新
- 高効率ボイラ/ヒートポンプ、インバータチラー、冷媒更新
- モータ高効率化(IE3/IE4)、ベルト→ダイレクトドライブ
- プロセス熱回収(排熱回収、熱交換器)
分散電源・再エネ
- 屋根上PV(自家消費型)、PPAやリース活用
- 小規模蓄電池でピークシフト/非常用電源
- デマンドレスポンス(DR)参加で報酬取得
契約・料金メニューの見直し
- 時間帯別料金(TOU):ピーク/オフピークの単価差を踏まえ、工程をシフト。
- 力率改善:無効電力対策(コンデンサ)で力率割引/基本料金低減を狙う。
- 需要予測と契約電力:過去の最大需要電力を分析し、契約電力の妥当性を検討。
- 調達戦略:固定/変動/ハイブリッドの契約ミックスで価格変動に備える。
ピークカット/シフト戦略
- 現状把握:30分需要データでピーク日・時刻・機器を特定
- 制御設計:優先順位表(止めてもOK/要注意/不可)を作成
- 自動化:BEMS/EMSでスケジュール/しきい値制御
- 蓄電池:ピーク時放電、深夜充電でシフト
- 運用ルール:アラート対応、代替段取り、振り返り会
見える化・検証(KPIとM&V)
- KPI:原単位(kWh/製品・来店・m²)、ピークkW、力率、夜間待機電力
- M&V:改善前後で天候・稼働の補正を行い、削減量を検証
- サブメータ:大口機器・エリア別に分計測、ダッシュボードで週次レビュー
費用対効果の目安(投資区分別)
区分 | 例 | 投資規模 | 回収期間目安 | 備考 |
---|---|---|---|---|
運用改善 | 設定温度・リーク修繕・点灯管理 | 小 | 即〜6か月 | ノー/ローコスト中心 |
小額投資 | VFD・LED・BAS調整 | 小〜中 | 1〜3年 | 高ROIの定番 |
設備更新 | 高効率空調・ボイラ・チラー | 中〜大 | 3〜7年 | 補助金で短縮可(要件要確認) |
分散電源 | PV・蓄電池 | 中〜大 | 5〜10年 | 自家消費率が鍵 |
90日ロードマップ
Day 0–30
- 電力/ガス明細と30分データ取得、ピーク特定
- 空調・照明・圧縮空気の即効対策を実施
- 契約メニューと力率の現状診断
Day 31–90
- 小額投資(VFD/LED/リーク修繕)を実装
- BEMS/EMSの簡易ダッシュボード運用開始
- PV/蓄電池の一次試算・資金計画を作成
実務チェックリスト
- 過去12か月の使用量・ピークデータを入手した
- 空調設定・照明・圧縮空気の即効対策を実施した
- VFD・LED等の小額投資の見積を取得した
- 契約電力/時間帯別料金/力率の見直し案を作成した
- 原単位・ピークkW・力率のKPIを月次で監視している
FAQ
Q. まず何から手を付けるべき?
A. データ取得→ピーク特定→即効対策→契約見直し→小額投資の順で着手すると効果が早いです。
Q. 補助金の活用は?
A. 採択有無に左右されない計画を先に作り、要件に合致する場合に“後押し”として活用しましょう。
Q. 再エネはどれから?
A. 屋根上PVの自家消費が王道。昼間負荷がある事業所ほど有利で、蓄電池はピーク/BCPの二刀流で検討します。
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