資金繰り表の作り方と月次レビューのポイント
資金繰り表は、現金の入出金を時系列で管理するための基本ツールです。
利益が出ていても現金が不足すれば倒産リスクは高まります。
ここでは、作成手順と毎月のレビューの勘所を整理します。
資金繰り表の作り方(3ステップ)
① 期首現金の確定
スタート地点を正確に
- 月初の現預金残高を確定(複数口座は合算)
- 未入金・未払のうち当月発生分をメモ
- つなぎ資金・当座貸越の枠を明記
出発点がズレると全てが狂います。まずは月初残高を固定。
② 現金収入の見積り
「発生」ではなく「入金」で
- 売上入金:回収サイト(例:月末締翌月末入金)で移送
- 雑収入:補助金・保険金・返金の入金日を記載
- 借入実行・資本金払込などの入金も反映
売掛金は入金予定日ベースに置き換えるのがコツ。
③ 現金支出の見積り
固定費+変動費+金融支出
- 仕入支払:支払サイトでズラす(例:翌月10日)
- 人件費・家賃・リース:固定日で登録
- 税金・賞与・保険料・返済本利:月別に展開
資金使途の重複計上に注意(補助金対象分を再計上しない)。
テンプレ(表構造イメージ)
項目 | 1週目 | 2週目 | 3週目 | 4週目 | 月計 |
---|---|---|---|---|---|
期首現金残高 | ¥1,500,000 | ||||
売上入金 | ¥300,000 | ¥0 | ¥450,000 | ¥0 | ¥750,000 |
雑収入(補助金等) | ¥0 | ¥0 | ¥200,000 | ¥0 | ¥200,000 |
仕入支払 | ¥0 | ¥280,000 | ¥0 | ¥0 | ¥280,000 |
人件費 | ¥0 | ¥0 | ¥600,000 | ¥0 | ¥600,000 |
家賃・リース | ¥120,000 | ¥0 | ¥0 | ¥0 | ¥120,000 |
借入返済(本利) | ¥0 | ¥0 | ¥120,000 | ¥0 | ¥120,000 |
税金・保険・賞与 | ¥0 | ¥0 | ¥0 | ¥0 | ¥0 |
期末現金残高 | 期首+入金計-出金計 |
月次レビューのポイント(3視点)
① 予実差の分解
“ズレの原因”を特定
- 数量×単価×タイミングで差異分析
- 回収遅延(売掛)、支払前倒し(買掛)を識別
- 一時費用(修繕・更新)を切り分け
差異は「恒常要因」か「一過性」かを必ずラベル付け。
② 先読みアラート
90日先までの残高曲線
- 3か月先の週次残高がマイナス化しないか
- 賞与・納税・更新料などの突発ピークを可視化
- 必要なら短期枠・つなぎ融資の検討
「資金ショートの崖」を早期に見つけ、対策を前倒し。
③ 改善アクションの確定
翌月の打ち手に落とす
- 回収強化:請求前倒し・前受金・与信見直し
- 支出調整:固定費の一時削減、支払サイト交渉
- 売上補填:キャンペーン・在庫放出・小口受注
レビューは意思決定の場。ToDo・担当・期限までセットで。
よくある落とし穴
- 発生主義と混同: 売上計上月=入金月ではない
- 税金・賞与の未展開: 半年・四半期イベントを反映漏れ
- 補助金の過大見積り: 入金時期は保守的に(交付決定後でも遅延あり)
まとめ
資金繰り表は「作って終わり」ではなく、毎月の予実管理と意思決定に使ってこそ価値が出ます。
期首現金→入金→出金→期末残高の流れを固め、90日先までの残高を常に先読みしましょう。
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