在庫回転率改善でキャッシュを生む1
資金繰りが苦しい企業の多くに共通するのが在庫の滞留です。
在庫は貸借対照表では資産ですが、現金化されない限りキャッシュを生みません。
在庫回転率を改善することで、追加融資に頼らず資金繰りを改善できます。
まず押さえる指標
① 在庫回転率
年◯回転が目標
在庫回転率 = 売上原価 ÷ 平均在庫
② 在庫回転日数
小さいほど良い
回転日数 = 365日 ÷ 在庫回転率
③ 不良在庫率
滞留・陳腐化の割合
不良在庫率 = 滞留在庫 ÷ 総在庫
キャッシュを生む3つのレバー
① SKU整理(ABC分析)
- A:売上・粗利の上位20%は重点在庫
- B:需要変動に応じて発注頻度を調整
- C:休止/廃番・受注生産化を検討
「売れ筋に資金集中、死に筋は減らす」が鉄則。
② 発注方式の見直し
- 定量発注→リードタイム短縮なら定期少量化
- 需要予測+安全在庫で過剰在庫を抑制
- サプライヤとMOQ交渉、VMI/直送の活用
「まとめ買い」は在庫を現金でロックする行為。
③ 滞留在庫の現金化
- 値引き・セット販売・B品販売
- オンライン在庫セール・卸売放出
- 税務上の評価損計上も選択肢
損切りが遅いほどキャッシュ機会は失われます。
現場オペで効く3つの施策
① 棚卸の高頻度化
四半期→月次→循環棚卸へ。差異の早期検知で発注精度UP。
② 需要変動の可視化
週次の売れ行きダッシュボードを用意。繁閑に合わせて発注波形を即調整。
③ 代替提案と価格弾力
欠品時は代替SKU提示、滞留時は価格/販促で回転加速。
数値インパクト例(簡易シミュレーション)
指標 | 改善前 | 改善後 | キャッシュ効果 |
---|---|---|---|
平均在庫 | 3,000万円 | 2,100万円(▲30%) | +900万円の現金化 |
在庫回転率 | 6回/年 | 8回/年 | 回転日数 61日 → 46日 |
金融機関へのアピールポイント
① 在庫削減の計画と実績
ABC分析表・滞留在庫リスト・削減KPIの提出。
② キャッシュ増分の根拠
「平均在庫×削減率=現金化額」を資金繰り表へ反映。
③ 再滞留防止策
発注ロジック・安全在庫算定式・棚卸頻度を明文化。
まとめ
在庫回転率の改善は、無借金でキャッシュを生む最速の手段です。
SKU整理・発注見直し・滞留現金化を同時に回し、削減効果を資金繰り表へ直結させましょう。
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