金融機関に響く『資金繰り表』の作り方と活用ポイント
金融機関に響く「資金繰り表」の作り方と活用ポイント
銀行からの評価を高める資金繰り表は、見やすさだけでなく再現性と返済原資の説明力が鍵。月次・週次・日次の運用テンプレを前提に、作り方と交渉の勘所を解説します。
なぜ資金繰り表が銀行に効くのか
- 返済可能性の可視化:営業CF・投資・財務CFの関係と返済原資が明確。
- 運転資金の妥当性:回収サイト/支払サイトのズレが数字で裏付く。
- 運用力の証明:予実管理とアクションが回っているかを示せる。
月次・週次・日次:3つのビュー
| ビュー | 期間 | 用途 | 主な入力 |
|---|---|---|---|
| 月次 | 12〜24か月 | 銀行提出・中期見通し | 売上計画・原価/経費・借入返済・設備投資 |
| 週次 | 8〜12週 | 着地管理・短期意思決定 | 入出金予定・請求/支払スケジュール |
| 日次 | 2〜6週 | 資金ショート警戒・当座残 | 振込予定・決済日・給与/税金・カード入金 |
作り方5ステップ
- 期首残高の確定:普通預金・当座・積立を集計。資金管理口座を一本化。
- 入金予定の設計:売上から回収サイトを当て、売掛回転日数で月次→週次に展開。
- 出金予定の整理:仕入・外注・経費・給与・税金・返済・投資を支払サイトに従って配置。
- 一時金の反映:補助金入金、保険金、賞与、更新投資、分納税など非定常を別レーンで。
- 予実運用:毎週差分入力→見通し更新→アクション(回収前倒し、支払繰延、借入枠活用)。
銀行に見せるポイント(申込シナリオ別)
1) 運転資金の増枠・借換
- 回収/支払サイトのズレを可視化し、必要枠=最大谷間+安全余裕で算出。
- 売上増・在庫積み増し・外注の前倒し等、要因別ブリッジで説明。
2) 設備投資(長期資金)
- 投資スケジュールと支払計画、運転資金の一時増も併記。
- 投資効果(粗利/効率化)→営業CF増→返済原資の連動を示す。
3) 赤字期の資金繰り安定化
- 改善施策(単価/原価/固定費)別のインパクトを時系列で。
- 月次赤字→黒字転換の転換点と返済開始時期(据置の必要性)を数表で示す。
よくあるNGと対処
- 売上だけ“右肩上がり”:回収サイト・在庫・外注の増分が織込まれていない → 運転資本のブリッジを追加。
- 税金・賞与の抜け:半期/年次の一時金を別レーンで管理。
- 過度な手入力:会計/請求/購買のCSV連携で自動取込に。
- 資金口座が散在:資金管理口座に集約し、残高の二重計上を防止。
チェックリスト
- 12〜24か月の月次表と、8〜12週の週次表を保有している
- 回収サイト/支払サイト、在庫増減を織り込んでいる
- 税金・賞与・更新投資など一時金のレーンがある
- 差分更新(予実)を毎週行い、アクションに結びつけている
- 資金ショートの“谷”と手当案(枠・時期・金額)が明記されている
FAQ
Q. 何がなくても最低限これだけ入れれば形になりますか?
期首残高/入金予定/出金予定/一時金/期末残高の5要素と、月次+週次の二層構成が最低限です。
Q. Excelで十分?専用ツールは必要?
小規模ならExcelで十分です。取引件数が多い場合は、会計/請求/購買のCSVを自動取込できる仕組みに移行すると運用負荷が下がります。
Q. 銀行へ提出する頻度は?
新規申込時と、条件変更・増枠時は最新版(直近の週次まで反映)を提出。定例は四半期に1回の共有でも効果があります。
ご相談・支援メニュー
- 月次/週次/日次の資金繰りテンプレ提供とカスタマイズ
- CSV連携による自動更新フローの構築
- 運転資本ブリッジと借入枠シミュレーション
- 銀行提出用パッケージ(説明スライド+ダッシュボード)作成
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