制度の狙いと評価軸

• 狙い：海外/単一拠点・単一サプライヤ依存のリスク低減、需給ショック時の供給継続、国内回帰・分散化。
• 評価軸：①安定供給（停止確率の低下/復旧時間短縮）②コスト適正化（原価・調達/物流）③環境負荷（CO₂/廃棄）④デジタル連携（可視化・追跡）⑤波及効果（取引先・地域）。
• 基本ルール：事前申請、採択後着手、相見積・仕様同等性、価格妥当性、証憑の厳格保全。

対象事業の組み立て方

以下の打ち手を単独/組み合わせで計画化し、リスク→対策→効果の因果で説明します。

• 調達分散：代替サプライヤの開拓、仕様共通化、二元調達、地域分散。
• 内製化：主要部材・工程の社内化（設備導入、治工具、工程設計）。
• 在庫最適化：安全在庫の再設計、需要予測、WMS/在庫可視化、ABC/発注点方式。
• 物流強靭化：3PL/共同配送、庫内動線、マテハン、庫内断熱・電源冗長化。
• 可視化・トレーサビリティ：SCM、EDI、BOM/ロット追跡、IoT/センサー。

対象経費とNGライン

• 対象になりやすい：生産設備・付帯工事、制御/計測機器、WMS/SCM等のソフト、クラウド初期費・導入支援、試験評価費、外注設計、運搬据付。
• 対象外になりがち：中古品・汎用建築/土木、通常更新と区別できない内装、保守運用の月額費、在庫購入費（制度により扱いが異なる）。
• 相見積：同等仕様で3者、本体・工事・諸経費を分けて価格妥当性を提示。

効果算定（安定供給・コスト・環境・物流）

1. 安定供給：停止確率×停止時間×影響売上＝回避損失、復旧時間短縮の効果。
2. 原価/調達：歩留り改善、外注→内製の差益、輸送・保管費の削減。
3. 在庫：在庫回転日数・安全在庫の圧縮、欠品率低下。
4. 環境・物流：輸送距離/回数削減によるCO₂・燃料費減、庫内効率化。

申請〜採択〜実績報告の実務フロー

1. 課題の定義：依存度、停止時の影響、過去トラブル、在庫・LTの現状。
2. 計画設計：To-BeのSC構成、工程表（WBS）、費目明細、KPI・効果試算。
3. 相見積と仕様確定：同等仕様/台数/能力/税抜条件で整合。
4. 申請書作成：事業計画、費用対効果、見積・図面・写真、体制・ガバナンス。
5. 採択後着手：契約・発注・工事。前倒し着手は原則NG。
6. 実績報告：納品・検収・稼働写真、支払記録、見積比較、KPI着地。
7. 運用：月次でKPI・在庫・LTをモニタリングし、ギャップ対策を実施。

共同申請・連携体（サプライヤ/顧客）

• 意義：単独では出せない波及効果（供給安定・BCP・標準化）を強調できる。
• 役割分担：中核企業＝要件定義/標準化、サプライヤ＝製造・品質、ロジ企業＝配送最適化、ITベンダ＝システム連携。
• データ連携：受発注・在庫・ロット/トレーサビリティの共通IF、権限設計、情報セキュリティ。

不採択の典型パターンと回避策

• 「通常更新」に見える：トラブル実績と依存度、具体的なリスクシナリオを数値で提示。
• 効果根拠が弱い：LT・欠品率・歩留り・輸送距離の基準データを明確化。
• 相見積の同等性不足：型式・能力・数量・工期が揃っていない。
• スケジュール遅延：採択前着手、検収漏れ、写真・銘板の不足。
• 波及効果の記述不足：取引先・地域・雇用への効果を具体例で補足。

チェックリスト

• 単一依存の現状（依存度%・停止リスク）を定量化した
• To-BeのSC構成・KPI（欠品率・LT・在庫日数）を設定した
• 費目明細と同等仕様の相見積（3者）を揃えた
• 採択後着手・証憑保全・版管理の運用を決めた
• 共同申請/連携体の役割分担とデータ連携を設計した

ご相談・支援メニュー

• 単一依存の診断（依存度・LT・欠品率）と改善計画
• 費目定義・相見積設計・仕様書/図面の整備
• KPI/効果試算（在庫・物流・CO2・回避損失）
• 申請書〜実績報告の証憑フォルダ設計と運用

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