倒産防止共済(経営セーフティ共済)の実務活用

倒産防止共済(経営セーフティ共済)の実務活用

連鎖倒産を防ぐ資金クッション。本稿では、加入要件、掛金設計(月5千〜20万円/累計800万円)、 共済金貸付(掛金総額の10倍、上限8,000万円)一時貸付(解約手当金の95%)、 解約手当金の支給率と出口戦略まで、現場で使える手順に整理します。(制度数値の要点は中小機構公表情報に準拠) :contentReference[oaicite:0]{index=0}

全体像:使いどころと意思決定

  1. 平時:損金算入による節税+流動性のオプション(一時貸付95%)。 :contentReference[oaicite:1]{index=1}
  2. 有事:取引先倒産時、無担保・無保証で回収不能分を掛金総額の10倍(上限8,000万円)まで借入。 :contentReference[oaicite:2]{index=2}
  3. 出口:解約手当金は40か月以上で100%(任意解約)。設計段階で解約月を想定。 :contentReference[oaicite:3]{index=3}

加入要件・基本仕様

  • 対象:中小企業者(法人・個人)。業種ごとの資本金/従業員数基準に適合。継続1年以上の事業が目安。 :contentReference[oaicite:4]{index=4}
  • 掛金:月額5,000円〜200,000円で任意に選択。累計上限は800万円。 :contentReference[oaicite:5]{index=5}
  • 税務:掛金は全額損金(法人)/必要経費(個人)算入可。 :contentReference[oaicite:6]{index=6}

掛金設計と会計・税務

  • 設計の考え方:「安全余力(運転資金の1〜2か月分)」を基準に、利益/資金繰りに応じて月額を増減。
  • 利益平準化:好調期に増額→不調期は据え置きor解約手当金を出口に。
  • 社内統制:増額/減額・借入・解約の意思決定権限を稟議規程に明文化。

資金手当:共済金貸付と一時貸付

① 共済金貸付(有事)

  • 要件:取引先の倒産(法的整理・取引停止処分等)。
  • 枠:「回収困難額」または「掛金総額の10倍」のいずれか少ない方(上限8,000万円)。 :contentReference[oaicite:7]{index=7}
  • 特徴:無担保・無保証、迅速なつなぎ資金。

② 一時貸付(平時)

  • 枠:機構解約時の解約手当金の95%を上限、最低30万円・5万円単位。 :contentReference[oaicite:8]{index=8}
  • 要件:掛金納付12か月以上(前納は除外)。 :contentReference[oaicite:9]{index=9}
  • 使いどころ:短期の資金ギャップ、仕入れ前倒し、決算着地の平準化。

出口戦略:解約手当金と支給率

任意解約の支給率は以下の通り(抜粋)。12か月未満は0%40か月以上で100%。解約前に支給率と税務影響を必ず試算。 :contentReference[oaicite:10]{index=10}

掛金納付月数任意解約の支給率
1〜11か月0%
12〜23か月80%
24〜29か月85%
30〜35か月90%
36〜39か月95%
40か月〜100%

活用シナリオ:平時/有事の実務

平時(予防)

  • 与信B/C先の回収不安に備え、#58のEWSと併走して掛金を積む。
  • 季節要因での資金山谷に合わせ、一時貸付を短期ブリッジとして活用。

有事(発生時)

  • 倒産判定(法的整理・取引停止処分等)と回収不能額の確定を急ぎ、共済金貸付を申請。
  • 同時に、出荷停止・分納合意・保全(#58参照)を走らせ、資金流出を止める。

よくある失敗と回避策

  • 短期で解約:12か月未満で解約し0%→最低でも36〜40か月を目安に。
  • 制度の誤認:夜逃げ等は倒産認定外→要件リストを事前に確認。 :contentReference[oaicite:11]{index=11}
  • 社内手続き遅延:倒産発生時の証拠集約が遅れ申請が後手→契約・請求・不渡り等の証拠一元管理を平時から。

チェックリスト

  • 加入資格と継続1年以上の要件を確認した(法人/個人) :contentReference[oaicite:12]{index=12}
  • 掛金月額(5千〜20万円)と累計上限(800万円)を策定した :contentReference[oaicite:13]{index=13}
  • 一時貸付(95%)の前提(12か月以上・30万円以上)を共有した :contentReference[oaicite:14]{index=14}
  • 倒産時の共済金貸付フローと必要書類のチェックリストを整備した :contentReference[oaicite:15]{index=15}
  • 解約手当金の支給率に基づく出口月を決めた(40か月=100%) :contentReference[oaicite:16]{index=16}

FAQ

Q. 掛金はいくらから?途中で増減できますか?

月5,000円〜200,000円で設定可能。業況に合わせて増減もできます(累計上限は800万円)。

Q. 取引先が倒産した場合、いくらまで借りられますか?

回収困難となった債権額、または掛金総額の10倍(上限8,000万円)のいずれか少ない方までです。無担保・無保証で利用できます。

Q. 解約手当金はいつ満額になりますか?

任意解約で掛金納付40か月以上になると支給率100%(満額)です。12か月未満は0%なので注意が必要です。

ご相談・支援メニュー

  • 掛金シミュレーション(利益・資金繰り連動)と社内規程整備
  • 一時貸付・共済金貸付の申請手順書と必要書類テンプレ整備
  • 解約手当金の出口月設計(税務影響・資金需要と連動)
  • #58 与信/EWS設計と連動したリスク対応プロトコルの構築

相談してみる(無料) 関連: サービス事例

本記事は一般的な情報提供です。制度詳細や運用条件は変更されることがあります。最新の一次情報(中小機構等)をご確認のうえ、専門家へご相談ください。

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Shige