回収局面の「内容証明・分納合意・公正証書化」テンプレ集
回収局面の「内容証明・分納合意・公正証書化」テンプレ集
期日超過は初動48時間が分岐点。本稿では、口頭督促→書面督促→内容証明→分納合意→公正証書化の 実務を、コピーして使えるテンプレとチェックリストで整備します(#58・#59・#65と連動)。
全体像:48時間ルールとエスカレーション
- 期日当日:未入金確認→当日中に電話/メールで事実確認、支払予定日と理由を記録。
- +2営業日:書面督促(取引停止予告)を発送、次回出荷は入金確認後に限定。
- +7営業日:内容証明の発送準備(証拠整理・ドラフトレビュー)。
- +14営業日:内容証明発送→分納案を提示、合意成立なら即日押印。
- +21営業日:履行確保のため公正証書化(強制執行認諾文言)を実施。未合意なら保全(仮差押等)を検討。
書面督促と内容証明テンプレ
① 書面督促(取引停止予告)テンプレ
件名:未払代金のご確認(取引停止予告)
貴社名/ご担当者様
下記請求につき支払期日を経過しております。至急のお振込をお願いいたします。
【請求概要】請求日:__/請求番号:__/金額:__円/期日:__
【お支払期日】__年__月__日(本書到達後2営業日)
【備考】以降の出荷は入金確認後とさせていただきます。
株式会社__ 債権管理部 TEL__/EMAIL__
(本書は記録保存されます)
② 内容証明(支払催告)テンプレ
内容証明郵便
__年__月__日
宛先:__株式会社 代表取締役__殿
差出人:株式会社__ 代表取締役__
1. 貴社は当社に対し、下記債務を負担しています。
(1)請求番号__ 金__円 支払期日__年__月__日
2. 右債務は本書到達の日から起算して7日以内に全額を支払ってください。
3. 期限までに履行がない場合、貴社との取引を停止し、法的手続(仮差押・訴訟等)
を含む回収措置を直ちに講じます。
4. 遅延損害金は契約条項に従い年率__%にて請求します。
以上
(差出人住所)__(連絡先)__
※本書は同文3通作成のうえ、郵便法に則り差出しています。
分納合意(和解)テンプレ
(タイトル)分割弁済に関する合意書
(当事者)債権者:株式会社__ / 債務者:__株式会社(代表取締役__)
第1条(債務の確認)
債務者は当社に対し、金__円(以下「本件債務」)の支払義務があることを確認する。
内訳:請求番号__ほか(別紙明細)
第2条(支払方法)
1. 債務者は本件債務を、下記のとおり分割弁済する。
①__年__月__日 金__円
②__年__月__日 金__円
2. 支払は債権者指定口座へ振込により行う。手数料は債務者負担。
第3条(期限の利益喪失)
債務者が各期において支払を1回でも遅滞したときは、債権者の通知催告なくして
残額の全てについて期限の利益を失い、債権者は残額の一括支払を求めることができる。
第4条(遅延損害金)
遅延損害金は年率__%とする(起算日:各期日翌日)。
第5条(担保・保証)
債務者は別紙のとおり、__(例:債権譲渡/動産譲渡登記/連帯保証(極度額__円))を提供する。
第6条(執行力の付与)
当事者は本合意を公正証書化し、強制執行認諾条項を付すことに合意する。
第7条(秘密保持・協議解決)
(略)
__年__月__日 署名・押印
公正証書化(強制執行認諾)テンプレ
公証役場での作成時に必要な主要条項(ドラフト方針)。
(標題)金銭消費貸借(または和解)に関する公正証書
(当事者)債権者:株式会社__/債務者:__株式会社(代表取締役__)
第X条(支払約定) 金__円を下記のとおり支払う。__(分割表)
第Y条(期限の利益喪失) 1回の不履行で残額の期限の利益を喪失。
第Z条(強制執行認諾) 債務者は、本公正証書に基づく金銭債務について直ちに強制執行に服する旨陳述する。
付則(遅延損害金、担保・保証、管轄、費用負担 等)
証拠一元管理と送達証明
- 案件IDで紐付け:契約・注文・納品・検収・請求・入金・交渉ログ・郵便控え(内容証明・配達証明)。
- タイムライン:「督促→内容証明→合意→公正証書→履行監視」の日付・担当・証憑リンクを一覧化。
- 送達の立証:内容証明は配達証明を付け、FAX/メール送信ログも保存(重畳証拠)。
- 支払監視:口座入金の着金確認を自動連携し、1日遅延で自動アラート。
よくある失敗と回避策
- 期限未明示:「至急お願いします」だけ→日付と不履行時措置を明記。
- 証拠不足:納品・検収・請求の証憑欠落→#63の電子化で自動収集。
- 弱い合意:分納スケジュールのみ→期限利益喪失・遅延損害金・担保を必須に。
- 公正証書の後回し:先送りで未履行→合意当日に日程確定・申出書作成。
チェックリスト
- 期日超過から48時間以内に事実確認と書面督促を送付した
- 内容証明の事実特定(請求番号・金額・期日)と履行期限を明示した
- 分納合意に期限利益喪失・遅延損害金・担保/保証・公正証書化を盛り込んだ
- 公正証書の強制執行認諾条項を確認し、必要書類を準備した
- 証拠(契約~入金)と送達証明を案件IDで一元管理している
FAQ
Q. 内容証明は必ず弁護士名で出すべき?
社名での発送でも有効です。交渉段階や相手の態度次第で、弁護士名の催告に切り替えると実効性が上がります。
Q. 分納合意は公正証書が必須?
必須ではありませんが、履行確保の観点から強制執行認諾付き公正証書にしておくと、未履行時に訴訟を省略できます。
Q. 内容証明の期限は何日が妥当?
通常は7日程度が目安です。相手の資金繰りや銀行営業日を踏まえ、実現可能な期日設定にします。
ご相談・支援メニュー
- 内容証明・書面督促・メール文面のテンプレ提供とカスタム
- 分納合意(期限利益喪失/遅延損害金/担保)のドラフト作成
- 公正証書化の段取り(必要書類・委任状・日程)と同席支援
- #58〜#65連動の回収E2E(督促→保全→法的回収)整備
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