電子請求と入金照合の自動化実務設計
電子請求と入金照合の自動化実務設計(OCR・名寄せ・未収アラート・会計連携)
電子請求・OCR・銀行明細の名寄せで照合率を最大化し、未収アラートと会計連携までを“回る仕組み”に落とし込みます。
全体像:請求〜入金の統合
- 目的:照合率の最大化と未収の早期検知、入力工数の最小化。
- 対象:請求データ・銀行入金・会計仕訳・取引先マスター。
- 成果物:名寄せルール、アラート設計、仕訳連携、運用KPI。
- 原則:共通キーの厳格化、例外の体系管理、例外最小化の継続改善。
共通キーとデータ前提
| 要素 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 共通キー | 取引先コード/請求番号/案件ID | 枝番・再請求・分割請求の付番規約を統一 |
| 名寄せ補助 | 銀行振込名義カナ・EDI・参照番号 | 名義ゆれ辞書を継続学習(例:㈱→カブシキガイシャ) |
| 金額差 | 手数料控除・端数差 | 許容差額の閾値と自動処理ポリシーを明文化 |
| 期日 | 入金サイト・消込期限 | 祝日・月末集中への運用ルール(前倒し督促) |
電子請求・OCR取込み
- 電子請求(PDF/Peppol等)を標準化、請求番号・金額・期日を必須化
- 紙・PDFはOCRで抽出、信頼度スコア低はレビューキューへ
- 電子帳簿保存法に準拠した保管・改ざん防止・検索性の担保
銀行明細(API/CSV)取得
取得方式
- API:日次自動取得、参照番号・名義・金額・日時
- CSV:ネットバンキング出力の自動取り込み
前処理
- 名義の正規化(全半角・機種依存文字・カナゆれ)
- 金額の整形(手数料控除・複数入金の合算/分解)
名寄せ・あいまい一致ロジック
- 厳格一致:請求番号=参照番号、金額一致、取引先一致
- あいまい一致:名義距離(編集距離)・金額近似・期日帯
- 補助キー:案件ID・見積番号・注文番号でのクロス照合
- スコアリングで自動確定/要レビューを二分
エラー分類と未収アラート
代表的エラー
- 名義不一致/請求番号欠落/金額過不足/重複入金
- 期日超過(DSO悪化)/相殺・手形・小切手混在
対応フロー
- 自動タグ→担当タスク→SLA期限→エスカレーション
- テンプレ督促(一次・二次・停止予告)で迅速対応
会計連携と自動仕訳
- 確定マッチは売掛金の消込仕訳を自動計上
- 差額は“手数料”“差額勘定”“前受/仮受”へ自動振分
- 未収残は年齢表へ反映し、回収ステータスを更新
ダッシュボードとKPI
KPI
- 照合率/自動確定率/要レビュー率
- 未収残高・期限超過率・DSO
- エラー別件数・是正リードタイム
可視化
- 日次の入金・未収の推移とアラート一覧
- 辞書ヒット率・ルール改善の効果測定
よくある失敗と回避策
- 付番規約の乱れ:請求番号の重複・枝番バラバラ → 付番ルールの一元化。
- 名義ゆれ放置:学習されず毎回手作業 → 名寄せ辞書を運用KPIに。
- 例外多発:許容差・相殺規程が不明 → 閾値と承認フローを明文化。
- 会計だけ最適:販売・請求と分断 → 四点一致のデータ設計を前提に。
チェックリスト
- 取引先コード・請求番号・案件IDの共通IDが統一されている
- 銀行明細はAPI/CSVで日次自動取得している
- 厳格一致+あいまい一致の二段ロジックを実装した
- エラーは自動タグ→タスク→SLAで運用している
- 会計の自動仕訳と年齢表へ反映できている
- 照合率・未収残・DSO等のKPIダッシュボードがある
FAQ
Q. OCRの精度が不安です
信頼度スコアで閾値を設け、低スコアはレビューバスケットに送ります。発行側の様式標準化と参照番号必須化で精度を底上げできます。
Q. 名義が毎回違って一致しません
名寄せ辞書を運用し、レビュー結果で辞書を自動更新。編集距離・正規化・別名エイリアス(略称/カナゆれ)でスコアリングします。
Q. 相殺や手数料控除が混じる場合は?
許容差額と勘定科目の既定ルールを定め、自動仕訳で差額を振分けます。一定額超は要承認にし、エビデンスをタスク紐付けします。
ご相談・支援メニュー
- 名寄せルール設計(厳格一致+あいまい一致)と辞書運用
- 銀行明細API/CSV連携・会計自動仕訳フロー構築
- 未収アラート・テンプレ督促・エスカレーション設計
- KPIダッシュボード(照合率・DSO・エラー率)導入支援
相談してみる(無料) 関連:サービス|事例
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