与信ポリシーと出荷判定の統合設計|スコア×担保×条件付出荷で“攻めと守り”を両立
与信ポリシーと出荷判定の統合設計|スコア×担保×条件付出荷で“攻めと守り”を両立
社内スコア・外部信用・取引履歴を統合し、担保/前受/決済条件を動的制御。条件付出荷で機会損失を抑えつつ貸倒を最小化する運用テンプレートです。
全体像:与信×出荷の統合目的
- 目的:売上機会最大化と貸倒最小化の同時達成。
- 対象:見積→受注→出荷判定→請求→回収→与信見直し。
- 成果物:スコア設計、条件付出荷ルール、承認権限、監査ログ。
- 原則:“自動提案→人の承認”、四半期ごとの閾値見直し。
与信ポリシーの層構造
ポリシー層
- 基本方針:業界/地域/通貨ごとのリスク上限
- 運用ルール:枠設定・担保/保証・前受条件
- 例外ルール:特例承認・一時的枠拡張・共同保証
統制
- 承認権限マトリクス(金額×リスク×期間)
- ログ保全(申請→承認→出荷→回収)
スコアリング設計(社内×外部)
| 領域 | 特徴量例 | 用途 |
|---|---|---|
| 社内 | DSO推移、期限超過率、分納回数、売上集中度 | 枠見直し、条件付出荷の判定 |
| 外部 | 信用評点、財務比率、官報/倒産情報、ニュース | 初回枠設定、早期警戒(EWS) |
| 行動 | 受注/出荷の急変、クレーム率、返品率 | 短期的な条件変更トリガー |
担保・前受・決済条件の最適化
- 担保:保証金/LC/保険/物的担保の優先順位と発動条件
- 前受:%設定閾値(例:Highリスクは30%前受)
- 決済条件:サイト短縮、都度払い、インコタームズ/配送条件の変更
- 為替/国別リスク:通貨分散・ヘッジ・保険併用
出荷判定(通常/条件付/停止)
3段階ルール
- 通常:スコア良好・枠内 → 出荷
- 条件付:枠超過/予兆あり → 前受/担保/サイト短縮を自動提案
- 停止:重大リスク/未収長期化 → 役職承認の上で停止
例外設計
- 営業案件の戦略重要度で加点/減点
- 在庫逼迫・価格改定前などの時限的例外
運用フロー・SLA・監査ログ
- 検知→自動提案→承認申請→条件反映→出荷判定→ログ保存
- SLA:Highは48h以内に判断、Medは3営業日、Lowは週次
- 監査:ポリシー版数・承認者・根拠資料の紐付け必須
ダッシュボードとKPI
KPI
- 与信枠使用率・超過件数・条件付出荷率
- 貸倒率・回収率・DSO/期限超過率
- 承認SLA遵守率・例外再発率
可視化
- 顧客別スコア時系列、枠変動、条件履歴
- 停止判断の根拠ログと影響額
よくある失敗と回避策
- 営業と財務の乖離:共通KPI不在 → “与信枠使用率×売上”で共通化。
- ブラックボックス:根拠未保存 → 判断ロジック/資料を必ずログ化。
- 閾値固定化:市況変化に未対応 → 四半期レビューで重みを再最適化。
- 停止乱発:機会損失が増大 → 条件付出荷のメニューを充実。
チェックリスト
- 社内/外部スコアと行動指標を統合している
- 担保・前受・決済条件の発動条件が明文化されている
- 通常/条件付/停止の3段階で出荷判定できる
- 承認SLAとログ保存が自動運用されている
- KPI(枠使用率・貸倒率・SLA遵守率)をダッシュボードで監視している
FAQ
Q. 条件付出荷は売上を落としませんか?
“停止”の前に条件付出荷を用意することで機会損失を最小化します。前受%や担保のメニュー化で商談を止めずにリスクを制御できます。
Q. 外部信用スコアが古い場合は?
社内指標(入金行動・分納発生・クレーム)を高頻度で更新し、外部スコアは上限/下限のガードとして補助的に利用します。
Q. 停止判断の責任はどこに置くべき?
金額×リスクの権限マトリクスでレベル分けし、最終は財務責任者。営業は代替条件(前受/担保)提案で機会維持に注力します。
ご相談・支援メニュー
- 与信スコア設計(社内/外部)と重み最適化
- 条件付出荷メニュー(前受/担保/決済条件)策定
- 承認SLA・監査ログ・ダッシュボード実装
- 四半期レビュー(閾値再最適化・影響額分析)運用支援
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