リスク統合ダッシュボードの実務設計(信用・在庫・為替・供給・法務を一元管理)
リスク統合ダッシュボードの実務設計(信用・在庫・為替・供給・法務を一元管理)
信用・在庫・為替・供給・法務を確率×影響度で統合し、AI検知とS&OP/与信/回収に連動する“例外主義”ダッシュボードの設計。
全体像:統合の狙い
- 目的:分断されたリスク情報を一元化し、意思決定を高速化。
- 連携:S&OP・与信/出荷・請求/回収と相互にデータ接続。
- 成果物:統合ダッシュボード、アラート設計、承認ログ、行動テンプレ。
- 運用:例外だけを会議に上げる“例外主義”の定着。
対象リスクと粒度
対象
- 信用(延滞・倒産・保証切れ)
- 在庫(欠品・滞留・偏在)
- 為替(エクスポージャ・ヘッジ未実施)
- 供給(停止・遅延・物流障害)
- 法務(契約/コンプラ・係争)
粒度
- 顧客・SKU・拠点・国/通貨・仕入先
- 週次(現場)/月次(経営)
データモデル(共通ID・前提・制約)
| 要素 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 共通ID | 顧客・SKU・拠点・契約の統一ID | 代替SKU/並行品のマッピング |
| 前提テーブル | 価格・販促・レート源・与信条件 | 変更履歴を版管理し可視化 |
| 制約モデル | 能力・LT・MOQ・保管容量・契約条項 | ハード/ソフト制約の区別 |
リスクスコアと優先順位
スコア設計
- 確率×影響度を0–100に正規化
- High/Med/Lowの3区分+しきい値
- 外部スコアは上限/下限のガードに活用
優先順位付け
- 金額影響×顧客/SKUの重要度で並べ替え
- カバレッジ(対応率)をKPI化
- 承認マトリクスと自動タスク連動
ダッシュボード構成(経営/現場)
経営ビュー
- 統合リスクマップ(ヒートマップ)
- 主要KPI:延滞残高、在庫日数、為替損益、供給遅延率
- S&OP承認値とリスク影響額の乖離
現場ビュー
- 顧客/SKU別アラート一覧と期限SLA
- 配分・移送・ヘッジ・与信の即時アクション
- 対応履歴・証憑・承認ログの一体表示
AI異常検知とアラート
- 季節外れの急騰/急落、連続逸脱、連動SKU異常を検知
- チャンネル:メール/Slack/Teams+チケット自動発行
- 誤警告率・検知漏れ率をKPI化し定期調整
承認・エスカレーション・監査
- 承認権限:影響額×期間×重要度でマトリクス化
- 期日超過は自動エスカレーション(役職段階)
- 監査:前提・決定・宿題・証憑・仕訳/ヘッジIDをログ
よくある失敗と回避策
- 指標乱立:“確率×影響度”とKPI最小集合で統一
- 部門断絶:共通ID・前提テーブルで“同じ地図”を共有
- 警告過多:優先順位制御と週次/日次の段階配信
- 行動不連動:アラート→タスク→SLA→完了ログを一気通貫
チェックリスト
- 共通IDと前提テーブルを版管理している
- 確率×影響度でHigh/Med/Lowを定義済み
- アラートがタスクとSLAに直結している
- 経営/現場ビューが分離されつつ整合している
- 誤警告率・検知漏れ率をKPI監視している
FAQ
Q. まず何から始めれば良い?
共通IDの整備と前提テーブルの作成です。次に“確率×影響度”の最小スコアモデルとアラート→タスクの連結を実装します。
Q. 外部スコアは信用できる?
上限/下限のガードに用い、意思決定は社内データ(入金履歴・在庫・為替エクスポージャ)を主軸に。四半期ごとに重みを再最適化します。
Q. 警告が多くて現場が疲弊します。
優先順位の段階化と配信間隔の抑制、Lowは週次レポート集約。誤警告率と検知漏れ率をKPI化し、閾値を定期調整します。
ご相談・支援メニュー
- 共通ID・前提テーブル・制約モデルの設計
- リスクスコア設計(確率×影響度)とKPI定義
- AI異常検知・アラート→タスク→SLAの実装
- 経営/現場ダッシュボードの構築と定着化支援
相談してみる(無料) 関連:サービス| 事例
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