リスク統合ダッシュボードの実務設計(信用・在庫・為替・供給・法務を一元管理)

リスク統合ダッシュボードの実務設計(信用・在庫・為替・供給・法務を一元管理)

信用・在庫・為替・供給・法務を確率×影響度で統合し、AI検知とS&OP/与信/回収に連動する“例外主義”ダッシュボードの設計。

全体像:統合の狙い

  1. 目的:分断されたリスク情報を一元化し、意思決定を高速化。
  2. 連携:S&OP・与信/出荷・請求/回収と相互にデータ接続。
  3. 成果物:統合ダッシュボード、アラート設計、承認ログ、行動テンプレ。
  4. 運用:例外だけを会議に上げる“例外主義”の定着。

対象リスクと粒度

対象

  • 信用(延滞・倒産・保証切れ)
  • 在庫(欠品・滞留・偏在)
  • 為替(エクスポージャ・ヘッジ未実施)
  • 供給(停止・遅延・物流障害)
  • 法務(契約/コンプラ・係争)

粒度

  • 顧客・SKU・拠点・国/通貨・仕入先
  • 週次(現場)/月次(経営)

データモデル(共通ID・前提・制約)

要素内容ポイント
共通ID顧客・SKU・拠点・契約の統一ID代替SKU/並行品のマッピング
前提テーブル価格・販促・レート源・与信条件変更履歴を版管理し可視化
制約モデル能力・LT・MOQ・保管容量・契約条項ハード/ソフト制約の区別

リスクスコアと優先順位

スコア設計

  • 確率×影響度を0–100に正規化
  • High/Med/Lowの3区分+しきい値
  • 外部スコアは上限/下限のガードに活用

優先順位付け

  • 金額影響×顧客/SKUの重要度で並べ替え
  • カバレッジ(対応率)をKPI化
  • 承認マトリクスと自動タスク連動

ダッシュボード構成(経営/現場)

経営ビュー

  • 統合リスクマップ(ヒートマップ)
  • 主要KPI:延滞残高、在庫日数、為替損益、供給遅延率
  • S&OP承認値とリスク影響額の乖離

現場ビュー

  • 顧客/SKU別アラート一覧と期限SLA
  • 配分・移送・ヘッジ・与信の即時アクション
  • 対応履歴・証憑・承認ログの一体表示

AI異常検知とアラート

  • 季節外れの急騰/急落、連続逸脱、連動SKU異常を検知
  • チャンネル:メール/Slack/Teams+チケット自動発行
  • 誤警告率・検知漏れ率をKPI化し定期調整

承認・エスカレーション・監査

  • 承認権限:影響額×期間×重要度でマトリクス化
  • 期日超過は自動エスカレーション(役職段階)
  • 監査:前提・決定・宿題・証憑・仕訳/ヘッジIDをログ

よくある失敗と回避策

  • 指標乱立:“確率×影響度”とKPI最小集合で統一
  • 部門断絶:共通ID・前提テーブルで“同じ地図”を共有
  • 警告過多:優先順位制御と週次/日次の段階配信
  • 行動不連動:アラート→タスク→SLA→完了ログを一気通貫

チェックリスト

  • 共通IDと前提テーブルを版管理している
  • 確率×影響度でHigh/Med/Lowを定義済み
  • アラートがタスクとSLAに直結している
  • 経営/現場ビューが分離されつつ整合している
  • 誤警告率・検知漏れ率をKPI監視している

FAQ

Q. まず何から始めれば良い?

共通IDの整備と前提テーブルの作成です。次に“確率×影響度”の最小スコアモデルとアラート→タスクの連結を実装します。

Q. 外部スコアは信用できる?

上限/下限のガードに用い、意思決定は社内データ(入金履歴・在庫・為替エクスポージャ)を主軸に。四半期ごとに重みを再最適化します。

Q. 警告が多くて現場が疲弊します。

優先順位の段階化と配信間隔の抑制、Lowは週次レポート集約。誤警告率と検知漏れ率をKPI化し、閾値を定期調整します。

ご相談・支援メニュー

  • 共通ID・前提テーブル・制約モデルの設計
  • リスクスコア設計(確率×影響度)とKPI定義
  • AI異常検知・アラート→タスク→SLAの実装
  • 経営/現場ダッシュボードの構築と定着化支援

相談してみる(無料) 関連:サービス事例

本記事は一般的な情報提供です。リスク指標・閾値・承認権限は業種や契約条件により異なります。導入前に一次情報と専門家の助言をご確認ください。

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Shige