金融機関との付き合い方
担当者が見るポイントと、やってはいけないNG行動
銀行との関係づくりは、「信用の積み上げ」と「情報の更新」がすべて。
決算や試算表などの定量情報に、方針や進捗といった定性情報を添えて、“今のあなたのビジネス”を継続的に伝えることが信頼を生みます。
主軸コンセプト
金融機関の担当者は「融資のプロ」ですが、事業や経営のプロではありません。 むしろ現場や業界の実務には不慣れです。だからこそ、あなたのビジネスを“わかる形”で説明することが不可欠です。
担当者が理解できる=稟議が通るとは限りませんが、理解できない案件はまず通りません。 数字(定量)だけでなく、収益の仕組み・顧客の行動・強みの源泉・KPI(重要業績評価指標:最終的な目標(KGI)を達成するための中間目標)と打ち手(定性)までを A4数枚の「事業の説明書」としてまとめ、常に最新の状態で共有しましょう。
担当者はここを見る(5つの着眼点)
1. 返済原資の見込み 定量
- 売上総利益・営業CFのトレンド
- 粗利率と固定費のバランス
- 月次試算表での季節変動
2. 資金使途の明確さ 定性
- 投資→収益化のシナリオ(回収表)
- 使途とKPIが紐づいているか
3. 資金繰り管理 運用
- 13週資金繰り表の有無
- 売掛・在庫・買掛の回転日数
4. 透明性と頻度 関係性
- 良い情報・悪い情報の両方をタイムリーに共有
- 四半期~月次の定期説明
5. 経営者の一貫性 姿勢
- 計画→実績→修正の“筋道”
- 数字と現場がつながっているか
Do / Don’t(やるべき・NG)
やるべきこと
- 月次試算表・資金繰り表を最新化し、簡易サマリー1枚を添付
- 投資案件は回収シナリオ(数値表)で説明
- 計画乖離は原因・対策・影響をセットで共有
- 面談後は議事メモをメールでリキャップ
避けるべきこと
- 悪い情報を伏せる/連絡が遅い
- 「ざっくり」説明で根拠資料が無い
- 資金使途がブレる・優先順位が曖昧
- 担当者を“条件交渉の相手”だけと捉える
面談チェックリスト(持参物)
定量 | 月次試算表(直近3~6ヶ月)/決算書一式/資金繰り表(13週・半年)/回収シナリオ表(投資案件)/主要KPI推移 |
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定性 | 四半期の振り返り・次四半期計画(A4一枚)/主要顧客・仕入先の変動/リスクと対応(在庫・人材・法規) |
証跡 | 受注(見込)一覧、見積・注文・契約の写し、設備見積、補助金・保証協会の進捗 |
コミュニケーションの型(テンプレ)
件名:【月次ご報告/〇月】業績・資金繰り・トピックス
本文:
① 概況(売上・粗利・営業CFの要約 3~5行)
② トピックス(良い話/注意点 を各1~2件)
③ 主要KPI(前月比・前年同月比)
④ 今後1~3ヶ月の見通し(受注・在庫・採用等)
⑤ 添付(試算表、資金繰り表、回収表、補足資料)
※面談のご希望日があればご教示ください。
よくあるNGケースとリカバリー
在庫積み増しで資金ショート
- 事前:13週資金繰りで不足週を特定
- 対策:仕入条件交渉/在庫回転KPI設定
- 共有:不足金額・期間・返済計画を明記
売上遅延で計画乖離
- 原因の分解(案件別・工程別・人員)
- 回復策(代替案件・広告強化・外注)
- 影響額と新たなKPI目線で再提示
追加借入の相談が直前
- 少なくとも1~2ヶ月前に素案共有
- 回収表・採算・担保/保証の選択肢を提示
- 制度融資・保証協会のスケジュールも添付
担当者交代で関係が白紙
- 「事業の説明書」資料(A4数枚)を常備
- 沿革・ビジョン・収益構造・KPI・体制を網羅
- 初回面談で“更新前提の関係”を合意
情報が早く、整っていて、更新され続ける企業ほど、支援の選択肢は広がります。」
まとめ
銀行対応は、定量(数字)×定性(ストーリー)×頻度(更新)の掛け算。
当社は、月次パック(試算表・資金繰り・サマリー)から面談同席、条件提案まで “伝わるかたち”での伴走をご提供します。