決算書のここを見られる!金融機関が注目する財務指標5選
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決算書のここを見られる!金融機関が注目する財務指標5選|“なぜ・どう改善”まで一発理解
同じ決算書でも「どの数字に、どう説明を付けるか」で評価は変わります。
本稿では、銀行がまず確認する5大指標と、その見方・目安・改善アクションを表で整理。面談で即使えるチェックリスト付きです。
結論(TL;DR)
- 結論①:銀行は返済原資(営業CF)と持続性(粗利・CCC)を最優先で見る。
- 結論②:安全性では債務償還年数・自己資本比率・金利負担が要。
- 結論③:“数字→要因→対策→KPI”の順で語ると説得力が最大化。
金融機関が注目する5指標
# | 指標 | 算式(例) | 銀行が見るポイント | 改善の打ち手 |
---|---|---|---|---|
1 | 営業キャッシュフロー(営業CF) | 営業CF(間接法)=税引前利益+非現金費用±運転資金増減 | 返済原資の安定性/季節変動の大きさ | 価格改定・高粗利商品の強化、在庫/回収の短縮 |
2 | 粗利率・粗利額の推移 | 粗利率=(売上-売上原価)÷売上 | 仕入/製造コスト管理、製品ミックスの健全性 | 仕入先交渉、歩留り改善、単価戦略、低粗利案件の見直し |
3 | CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル) | CCC=DSO+DIO-DPO | 資金回収スピードと運転資金負担 | 与信/回収条件短縮、在庫最適化、支払条件交渉 |
4 | 債務償還年数 | (有利子負債−手元資金)÷(営業CF+減価償却等) | 何年で借入を返し切れるか(10年超は警戒) | CF改善+返済条件見直し(期間延長/金利)、余剰資産売却 |
5 | インタレスト・カバレッジ・レシオ | (営業利益+受取利息+減価償却)÷支払利息 | 利払い耐性(1.5倍未満は注意) | 金利引下げ交渉、借換、利益率改善、不要債務圧縮 |
※目安は業種・規模で異なります。自社の過去推移と同業比較をセットで用意しましょう。
指標の作り方(実務ポイント)
- 月次で更新:前年同月比と移動平均(3/6/12か月)も表示。
- 分解して見せる:粗利は「単価×数量−原価」、CCCは「売掛/在庫/買掛」の各要素を分解。
- 面談用グラフ:営業CFは棒グラフ、粗利率は折れ線、CCCは3本線でトレンド提示。
- 要因と対策の対比:数字の変動を「要因→対策→見込み」で1枚にまとめる。
改善アクションの優先順位
短期(0〜3か月)
- 値引き是正・単価改定の準備
- 売掛サイト短縮(契約更新/合意書)
- 滞留在庫の処分・仕入ロット見直し
- 金利引下げ/借換の打診
中期(3〜12か月)
- 高粗利商品の比率引き上げ
- 生産性改善(歩留り・稼働率・RPA)
- 購買戦略(複数調達・長期契約)
- 固定費の構造改革(不採算の縮小)
面談前チェックリスト
- 営業CFの月次推移と改善要因を説明できる
- 粗利率の上昇/低下の要因分解を用意した
- CCC(DSO/DIO/DPO)の改善計画がある
- 債務償還年数の現状・目標・打ち手を説明できる
- インタレストカバレッジが1.5倍以上である、または改善策を提示できる
FAQ
Q. 赤字期でも評価を高める見せ方は?
A. 営業CFの黒字化とCCC改善、高粗利案件の比率上昇を月次で提示します。構造改善の証憑(見積比較・契約更新)も添付を。
Q. 製造・小売・サービスで指標の重みは変わる?
A. 製造は歩留り・在庫回転、小売は粗利率・在庫、小規模サービスは営業CF・回収サイトの重みが増します。
Q. どの期間のデータを見せるべき?
A. 直近12〜24か月の月次推移+直近3期の決算比較が基本。季節性のある業種は前年同月比も。
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