決算書のここを見られる!金融機関が注目する財務指標5選

最新情報|第3弾 - 13本目

決算書のここを見られる!金融機関が注目する財務指標5選|“なぜ・どう改善”まで一発理解

同じ決算書でも「どの数字に、どう説明を付けるか」で評価は変わります。
本稿では、銀行がまず確認する5大指標と、その見方・目安・改善アクションを表で整理。面談で即使えるチェックリスト付きです。

結論(TL;DR)

  • 結論①:銀行は返済原資(営業CF)持続性(粗利・CCC)を最優先で見る。
  • 結論②:安全性では債務償還年数・自己資本比率・金利負担が要。
  • 結論③:“数字→要因→対策→KPI”の順で語ると説得力が最大化。

金融機関が注目する5指標

#指標算式(例)銀行が見るポイント改善の打ち手
1営業キャッシュフロー(営業CF)営業CF(間接法)=税引前利益+非現金費用±運転資金増減返済原資の安定性/季節変動の大きさ価格改定・高粗利商品の強化、在庫/回収の短縮
2粗利率・粗利額の推移粗利率=(売上-売上原価)÷売上仕入/製造コスト管理、製品ミックスの健全性仕入先交渉、歩留り改善、単価戦略、低粗利案件の見直し
3CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)CCC=DSO+DIO-DPO資金回収スピードと運転資金負担与信/回収条件短縮、在庫最適化、支払条件交渉
4債務償還年数(有利子負債−手元資金)÷(営業CF+減価償却等)何年で借入を返し切れるか(10年超は警戒)CF改善+返済条件見直し(期間延長/金利)、余剰資産売却
5インタレスト・カバレッジ・レシオ(営業利益+受取利息+減価償却)÷支払利息利払い耐性(1.5倍未満は注意)金利引下げ交渉、借換、利益率改善、不要債務圧縮

※目安は業種・規模で異なります。自社の過去推移と同業比較をセットで用意しましょう。

指標の作り方(実務ポイント)

  • 月次で更新:前年同月比と移動平均(3/6/12か月)も表示。
  • 分解して見せる:粗利は「単価×数量−原価」、CCCは「売掛/在庫/買掛」の各要素を分解。
  • 面談用グラフ:営業CFは棒グラフ、粗利率は折れ線、CCCは3本線でトレンド提示。
  • 要因と対策の対比:数字の変動を「要因→対策→見込み」で1枚にまとめる。

改善アクションの優先順位

短期(0〜3か月)

  • 値引き是正・単価改定の準備
  • 売掛サイト短縮(契約更新/合意書)
  • 滞留在庫の処分・仕入ロット見直し
  • 金利引下げ/借換の打診

中期(3〜12か月)

  • 高粗利商品の比率引き上げ
  • 生産性改善(歩留り・稼働率・RPA)
  • 購買戦略(複数調達・長期契約)
  • 固定費の構造改革(不採算の縮小)

面談前チェックリスト

  • 営業CFの月次推移と改善要因を説明できる
  • 粗利率の上昇/低下の要因分解を用意した
  • CCC(DSO/DIO/DPO)の改善計画がある
  • 債務償還年数の現状・目標・打ち手を説明できる
  • インタレストカバレッジが1.5倍以上である、または改善策を提示できる

FAQ

Q. 赤字期でも評価を高める見せ方は?

A. 営業CFの黒字化CCC改善、高粗利案件の比率上昇を月次で提示します。構造改善の証憑(見積比較・契約更新)も添付を。

Q. 製造・小売・サービスで指標の重みは変わる?

A. 製造は歩留り・在庫回転、小売は粗利率・在庫、小規模サービスは営業CF・回収サイトの重みが増します。

Q. どの期間のデータを見せるべき?

A. 直近12〜24か月の月次推移+直近3期の決算比較が基本。季節性のある業種は前年同月比も。

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  • カテゴリ:資金調達・金融実務
  • 公開日:2025-08-12
  • 更新日:2025-08-12
  • タグ:#財務指標 #営業CF #粗利 #CCC #債務償還年数

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Shige